尊敬する人物
今日は雪が降っていた。
雪降る街を歩きながら、この野獣が心酔していると言っても過言ではない、
心の底から尊敬している人物のことを考えていた。
愚民どもには前回の超えられぬ壁の存在に続き、信じられない話かもしれないが、これもまた真実。
この野獣が憧れ、敬い、そして尊ぶ存在。
その名は『佐倉十郎』。
有名というよりも、知る人ぞ知ると言った方が適切かもしれない、微妙な知名度の画家だ。
確かに有名ではないが、佐倉十郎はとてつもない男だ。
ただひたすらに一糸纏わぬ少女の姿をキャンバスに写し取らんとするその情熱。
そして、恐らく多感な年頃であろう女子中学生の娘を、
父である自らの前に、その若く美しい肢体を惜しげもなく晒すことに
何の迷いも抱かせないよう育て上げた、その育成術。
素晴らしい。
この広い世界のなかで、どれだけの男が彼ほどの高みにまでのぼりつめることができたのだろう。
佐倉十郎、彼はすべての男の頂点に立っていると言っても過言ではないと野獣は思うのだ。